気象・環境情報計測システムのニーズ
急激に進行する地球温暖化により災害が激甚化しています。このため災害の兆候をいち早く、確実にとらえる気象・環境センサ(風向風速、気温、日照、河川水位、地震による加速度など)のニーズが従来以上に高まっています。

気象・環境情報計測システムの課題
自然環境を計測する気象・環境情報計測システムは、家庭用テレビやスマートフォンのような電子機器とは異なる課題を持っています。我々が開発している気象・環境情報計測システムは、下のような課題をクリアして安定動作が求められるのです。
課題1:電源
気象・環境情報計測システムが設置される屋外には、商用電源(コンセント)がありません。
「太陽電池で発電すれば良い」と簡単に考えがちですがが、木々に覆われた山の中では、太陽電池パネルが発電する電力量は桁違いに小さくなります。太陽光パネルを大きくすると、台風が来たときに飛ばされるリスクがあります。また冬は雪が積もって発電しなくなります。

課題2:温度条件
屋外ではもちろん冷暖房がありません。冬は-20度、夏になって直射日光を受けると40度以上に温度が上がります。
ちなみにユーザがポケットに入れても持ち運ぶことを前提にしているスマートフォンは、氷点下になると動作を停止します。私たちの気象・環境情報計測システムは、寒くても暑くても、風が吹いても、嵐になっても動作し続けることが期待されます。

課題3:データ通信
スマートフォンは、日本中どこへ行っても使えるようになりました。
このスマートフォンを、山の中では「圏外」になって使えない場所がまだ多くあります。あるいは時間帯によって「圏外」になることもあり、安定動作を求められる気象・環境情報計測システムにとっては通信が大きな課題になります。
課題4:動物
山の中に設置したセンサでは、「鹿などの動物に反応して誤警報が出る」、という話もよくあります。
気象・環境情報計測システムを設置した箱に、小さな隙間があるとそこから昆虫が入ってくることがあります。中は住み心地が良いのでしょうか、卵が産み付けられていたこともありました。

課題4:故障修理
家電製品であれば、メーカや販売店に持ち込んで簡単に修理してもらえます。屋外に設置した気象・環境情報計測システムが故障したら、担当者が駆けつけなければなりません。設置場所の足場が悪かったり、4輪駆動車なければ行けないような場所にも気象・環境情報計測システムのニーズはあります。

アンバーロジックスのとりくみ
アンバーロジックスは、公立諏訪東京理科大学発ベンチャー企業です。主要メンバーはこれまで公立諏訪東京理科大学に所属しながら、地元自治体(茅野市)と公立諏訪東京理科大学で産学公連携・スワリカブランド創造事業として、地元企業と共に様々な取り組みを行ってきました。地元が八ヶ岳の山麓にあることを活かして、山岳地帯を流れる渓流に設置した水位計では、山の中で起きている様々な動きの一部を捉えることができました。
この取り組みで培ってきたノウハウ、技術、知的財産権を基にして、山岳地帯などの悪条件下でも長期間安定して動作する気象・環境情報計測システムの開発に取り組みます。